1964年、コードネーム“DS SPORT”と名付けられたプロジェクトがシトロエン社内で立ち上がった。
その目的は、前例のない快適さ、安全性、信頼性を保ちつつ190q/hを超える速度でオートルートを何時間でも巡航できる、豪華高性能のGTを作ることであった。
6年後の1970年、クルマは完成した。それが SM である。
その鼻先には、マセラティによる新設計のV6DOHC、2670cc/170psエンジンが搭載されている。最高速度はFF車初の220q/hにも達した。
この角度から見ると、DS同様に後がそうとう絞り込まれていることがわかる。フロントとリアのトレッドには200mmもの差異がある。これにより、空気抵抗係数はCd=0.39を誇り、矢のような直進安定性も確保した。
ステアリングもSMの特徴のひとつで、ハイドロの油圧を利用したセルフセンタリングシステムを採用している。簡単に云えば、手を離すと強制的に直進状態に戻る装置。これも高速安定性に寄与することになる。
タイヤはフェラーリ・デイトナにも採用された、ミシュランの高性能ラジアルタイヤXWXを装着している。
写真のクルマは標準のスチールホイルを装着。オプションでミシュラン製のカーボンファイバーホイルも設定していた。1セット150万円と云われている。
シビエ製の6灯ハロゲンライトは、一番内側がDS同様にステアリングと連動して左右に首を振る。また自働光軸調整装置により光軸の高さが一定に保たれている。
16年前に、SMの助手席に乗らせてもらったことがあった。マセラティのV6が奏でるビートは素晴らしく、装着されていたオプションのアンサ・マフラーは高らかに心地よい音を鳴らし、ハイドロの素晴らしい乗り心地と相まって、空飛ぶ絨毯に乗ったような気分を満喫した。
それこそ、地の果てまでも快適に走り続けるクルマ、それが SM だ。
タグ:CITROEN


